予防歯科の重要性

 

口と歯に関するトラブルはペットで最もよく見られる疾患の一つです。昔は3歳以上の犬と猫の85%以上に歯周病がみられるという報告があり、最近では1歳の犬の90%1歳の猫の75%は何らかの歯肉炎がみられるという報告があります。

動物を取り巻く生活環境の改善や獣医療の発展に伴いペットも高齢化が進み、歯周疾患をもつ動物は今後も増えていくことが予想されます。重度な歯周病は、口臭や歯の痛みだけでなく、歯周病菌やその細菌が産生する内毒素などが全身の臓器に様々な病気を引き起こしたり、悪影響を与えたりすることが知られており、心臓、肝臓、腎臓などに炎症を引き起こし、慢性病変となることがあります。

このようなことから、歯周病の早期発見、早期治療はもとより、歯周病の予防の概念が非常に重要になることが明確になってきています。

 

 

歯石除去の方法

当院の予防歯科では、歯と歯周組織を評価し、超音波スケーラーを用いた歯石や歯垢の除去(スケーリング)を行い、見えていない歯周ポケットに付着している歯垢の除去(ルートプレーニング)や歯の表面の研磨(ポリッシング)を行うことにより、歯石の再付着をできる限り防げるようにします。

             超音波スケーラー            ポリッシング(歯面研磨)用

 

 

全身麻酔下での処置

無麻酔での処置は、それぞれの歯の歯周ポケットや歯肉で隠れている部分の歯垢や歯石は除去しきれず、歯周病の治療にも予防にもなりません。むしろ、動物に恐怖や不安感、痛みを与え、大きな事故に繋がることがあり、時に歯自体に悪影響を及ぼすことがあります。さらに、その嫌な経験の為にホームデンタルケアを嫌がり家での維持管理が難しくなります。

 そのため当院では、歯科処置の全てを全身麻酔下で行い、獣医師が処置を行います。

歯石を取り除いた後の歯の表面の凹凸を研磨(ポリッシング)することで歯石の再付着を防ぐこと、およびその後の歯磨きなどの日常的なケアが、予防歯科において重要であると考えています。

 

歯周病が進行するなどして、抜歯しないといけないと判断した場合も同様に全身麻酔下で抜歯を行います。

 歯の根が複数ある場合は専用の機械を用いて歯を分割してから抜歯します。